今年ももうすぐ終わり・・・。皆さん、良いお年を!
「SAYURI」公開されました。楽しんで下さった方も、「なんじゃこりゃ」と思われた方もいるようです。出演したからには楽しんでもらえた方が嬉しいのですが、でもそれはどんな作品でも好き嫌いはしょうがない・・・。劇場で観てくれたお客さんが決めることです。外国映画で、台詞が英語ということもあって心配して下さった方もいらっしゃったようで・・・・ご心配お掛けしました。
今回僕は、いい経験をしたと思っています。日本映画よりも昔から日本の観客を動員するアメリカ映画の現場を覗いて来よう、動員力があるからスクリーンも音響もシートもいい条件の劇場はいつもアメリカ映画が上映され、日本映画は「条件的に不利じゃん!」とヤキモチを焼いていたアメリカ映画は一体どう作られているのか見てみたい・・・という思いで今回参加しました。
一番の収穫は、映画を作る現場は、日本映画でやっていることと殆ど差はないってことを改めて実感できたことです。勿論、映画の準備、スタッフの数、日数、など制作費はやはりかかっていると思いますが、その分、日本のスタッフは二人、三人分の仕事をこなし、優秀だと感じました。それにしても一本の映画に関わるスタッフの数には驚きます。しかし、アメリカ映画が全てそうだという訳ではないんですね。日本映画と同じように限られた予算と時間で工夫しながら作ってる映画も沢山あります。そういう作品の質の良さが、映画大国と言われる所以なんでしょうね。世界中から才能ある映画人を集め、映画を作るチャンスを与える、アメリカの映画ビジネスの懐の深いところなんでしょうね。
いいスタッフも沢山いました。キャストもアジアの俳優さん達で、西洋の国で苦労をともにした仲間という意識も生まれ良い出会いでした。
「SAYURI」の撮影でロサンジェルスに滞在していたとき、アレハンドロ監督が僕に会いたいとの連絡があり、サンタモニカのホテルのバーで会いました。(彼の「アモーレスペロス」という作品は凄い映画でした。)彼はその時、映画「BABEL」の脚本作りをしている最中で情熱的に映画の内容の話をしてくれました。僕は、「ああ彼の映画に出たいなあ・・」と思いました。次の日、彼から映画に出てくれと連絡があり、喜んでお受けしました。その「BABEL」も一月程前に撮影が終わり、今頃彼は、暗い編集室にこもっている頃です。撮影は徹夜続きでしたが、とても楽しかった! アメリカ資本の映画ですが、まるで日本映画を撮ってるような感じでした。「SAYURI」と「BABEL」という全く違うタイプのアメリカ映画の現場を体験できたことはいい経験でした。無駄ではないと考えています。海の向こうの人たちがどんな風に映画作りをしてるのか、また外国人俳優さんたちはどんな感じでキャメラの前に立ってるのか、ちょっと覗けただけでも幸運というものです。
僕は日本映画ファンです。アメリカでもメキシコでも中国でも世界中に日本映画ファンは沢山います。日本映画に影響された異国の映画人は山ほどいるのです。監督、スタッフ、俳優、日本映画の先輩たちがいいお手本を残してくれている。勿論、異国の映画に影響を受けた日本の映画人も山ほどいる。かつて日本映画が黄金時代、ロケ交渉にキャッシュが一杯詰まったバッグを持って行き、目の前に札束を積んで交渉していたという時代のようにはいかないでしょうが、第二期、日本映画黄金時代がきたら、「ワタシは、ニッポン映画に参加シタイデス。」という外国の映画人を温かく迎えてあげましょう。映画大国アメリカが、同じ映画を愛する仲間として世界中の映画人を温かく迎えているように、我々日本人も島国根性を捨て、異国の人間の感性を理解しようと歩み寄って、お互い影響し合い、いい作品作りができるといいなあ・・・・。お互いの国の文化、習慣を主張し過ぎると、映画が原因で戦争にならないとも限らない。オーバーかな?
日本人監督がこれから外国で映画を撮る時代が来ると思います。才能ある監督は沢山いる。
頑張って欲しい!どこの国でも人間的に魅力ある監督には、いいスタッフ、キャストが集まるものと信じています。監督の才能の一つは人間の魅力であると信じています。・・・うーん話がそれてきた・・。
来年は、1月14日、「THE 有頂天ホテル」公開です。観てください。
新作の映画も個性的な作品が続きそうです。新年早々、久しぶりに黒沢清監督作品の撮影が始まります。楽しみです!舞台も再来年にはやりたいと考えています。が、どうなるか分からない。
2006年、皆さんにとって良い年でありますようお祈りします。
そうそう、先日、久しぶりに乗馬の練習をました。二日目、お尻の皮が剥けてしまい情けないことになってしまいました。とても口では言えない程です。
一年振りの投稿になりました。来年はもう少し筆まめな人間になれるよう頑張ります!
役所 広司
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